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【2024年度改定版】服薬情報等提供料1,2,3の算定要件とトレーシングレポートの留意点

2024年03月15日

【2024年度改定版】服薬情報等提供料1,2,3の算定要件とトレーシングレポートの留意点画像

こんにちは、Pharms事務局です。
当記事では、2024年度調剤報酬改定版の服薬情報等提供料1,2,3の算定要件とトレーシングレポートにおける留意点などをご紹介しております。
※本記事は、2024年3月5日に厚労省より公開された「令和6年度診療報酬改定の概要【調剤】に準じて作成しています。今後の疑義解釈などによって内容に変更が生じる場合がございます。最新情報は公式資料をご確認ください。


服薬情報等提供料は、保険医療機関又は介護支援専門員に必要な情報を文書により提供した場合に算定できます。
※2022年度版においては文書提供を伴わない「患者またはその家族等」への情報提供も算定対象でしたが、2024年度の改定により算定不可となります。

算定のためには、

  • 服用期間中のフォローアップ実施で患者の状況を把握し、問題があった際に検知できるようにすること
  • 医療機関へ適切な情報提供をするためにトレーシングレポート作成のポイントを押さえておくこと

が重要と言えます。
これから服薬情報等提供料を増やして行きたいとお考えの方は、以下もご参考になさってください。
▶︎服薬フォローアップ1日50回の実践方法をご紹介!資料「服薬フォローアップ実践ガイド」を見る
▶︎資料「医師が期待するトレーシングレポートとは」を見る
▶︎活用事例「服薬フォローアップ実施月に数件→月105件、トレーシングレポート17件につながる」を見る

医師100人への調査をもとに薬局に求められることや、医療機関と適切な連携を行うことにより結果的に得られる薬局のメリットを解説!
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1. 服薬情報等提供料とは

服薬情報等提供料は、保険薬局において調剤後も患者の服用薬や服薬状況に関する情報等を把握し、保険医療機関や介護支援専門員などに当該情報を提供することにより、医師の処方設計及び患者の服薬の継続又は中断の判断の参考とする等、医療や介護に関わる他職種と保険薬局の連携の下で医薬品の適正使用を推進することを目的とするものです。
服薬情報等提供料は1,2,3の3つの区分があります。

  • 服薬情報等提供料1:保険医療機関からの求めによる情報提供
  • 服薬情報等提供料2:薬剤師が必要性を認めた場合または介護支援専門員からの求めがあった場合の情報提供
  • 服薬情報等提供料3:入院前の患者に関する医療機関への情報提供

2024年度調剤報酬改定では、特に服薬情報等提供料2の見直しがされました。次の章で詳しくご紹介します。

2.2024年度調剤報酬改定における算定要件の変更

2024年度調剤報酬改定の要件変更について、主なポイントは以下の通りです。

  • リフィル処方箋調剤に伴う情報提供が追加に
  • 情報提供先として介護支援専門員や歯科が明記された
  • 服薬情報等提供料2の要件が3つにパターン分けされ、いずれの場合も文書による情報提供が必要に(「患者またはその家族等」への情報提供のみでは算定不可に)


 上記を反映させた、それぞれの算定要件、算定に必要な情報提供内容、情報提供様式は下記をご覧ください。

算定要件


※1:かかりつけ薬剤師指導料等を算定している場合は、服薬情報等提供料1,2に係る業務を行うことを前提としているため、服薬情報等提供料は算定できません。上記以外にも例外条件があります。詳細は参考文献「(2) 同一月内における服薬情報等提供料及び在宅患者訪問薬剤管理指導料と他の薬学管理料の算定 の可否」をご確認ください。
※2:引用元_厚生労働省_2024年3月5日「令和6年度診療報酬改定の概要【調剤】」、別添3「調剤報酬点数表に関する事項」、別紙1-3「調剤報酬点数表」を元にメドレーが作成

算定に必要な情報提供内容

服薬情報等提供料1:保険医療機関から情報提供の求めがあった場合
保険医療機関から以下内容の情報提供の求めがあった場合にその理由とともに、現に患者が受診している保険医療機関に対して、情報提供した場合に算定できます。
ア 当該患者の服用薬及び服薬状況
イ 当該患者に対する服薬指導の要点
ウ 服薬期間中の患者の状態の変化等、自覚症状がある場合はその原因の可能性がある薬剤の推定

また、上記ア〜ウには以下も含まれます。


服薬情報等提供料2:保険薬剤師が必要性を認めた場合または介護支援専門員からの情報提供の求めがあった場合


服薬情報等提供料3:入院予定の患者の服薬情報について医療機関からの求めがあった場合

※引用元:厚生労働省_2024年3月5日「令和6年度診療報酬改定の概要【調剤】」、別添3「調剤報酬点数表に関する事項」、別紙1-3「調剤報酬点数表」を元にメドレーが作成

情報提供の様式

保険医療機関への情報提供
別紙様式1-1、別紙1-2又はこれに準ずる様式の文書等で実施することと記載されています。

介護支援専門員への情報提供
報告書様式及び薬学的評価シートを参考に当該患者の生活様式を踏まえた薬学的分析を行い介護支援専門員が理解しやすい表現で実施すること、また以下を参照することが推奨されています。
多職種連携推進のための在宅患者訪問薬剤管理指導ガイド」(令和4年度・令和5年度厚生労働科学研究費補助金 長寿科学政策研究事業 薬学的視点を踏まえた自立支援・重度化防止推進のための研究)等

3.トレーシングレポートの留意点

トレーシングレポートによる情報提供は服薬情報等提供料として評価されております。
トレーシングレポートを提出する上での留意点を解説します。

トレーシングレポートとは

保険薬局の薬剤師が得た情報を処方医に伝えるための文書であり、「即時性・緊急性は低いものの、処方医に伝える必要がある」と薬局薬剤師が判断した場合に作成し、提出するものです。
また、服薬指導や服用期間中のフォローアップの結果を適切に医師等に共有するための重要な手段であり、様々な加算の算定要件になっています。

患者からの同意取得

個人情報保護法により、個人情報の第三者への提供は、原則として本人の同意を得なければならないとされています。
トレーシングレポートによる医療機関等への情報提供は「患者の個人情報を第三者に提供する行為」にあたるため、患者様の同意が必要です。
薬局において取得した患者様の個人情報は、医療サービス提供のために利用されることは明らかなので、該当する利用目的について、患者様から明確な反対・留保の意思表示が無い限りは、黙示による同意が得られたものと考えられます。(参考1
なお、個人情報の利用目的については、院内掲示等に明記し、公表する必要があります。
また、掲示と併せて、薬剤師から患者様へフォローアップや情報提供の意義を説明し、患者様にメリットを感じていただくことも重要です。
トレーシングレポートの運用を始める前に、まずは患者様から同意取得ができる体制の準備をしてください。

服薬情報等提供料の算定ハードルは、「患者様の同意を得ること」。
関連記事:服薬情報等提供料の患者同意を得るために意識すべき2つのポイント

トレーシングレポート作成のポイント

① 目的を明確にする
トレーシングレポートは副作用報告書ではなく、治療を進める上で必要な情報を医師等に報告するための文書です。何のためにどんな情報を提供する必要があるのか、整理して記載する必要があります。

② 提案・根拠を添える
トレーシングレポートは服薬状況の報告だけではなく、薬剤師としての提案を記載することもあります。
その際は薬剤師視点の考えだけではなく、医師の判断材料になるような根拠を添えることが重要です。
特に処方提案を実施する際は、提案薬剤選択の根拠・代替薬の用法用量・服用上の注意事項、変更タイミング、継続期間等、実際に処方する際に必要な情報を記載することで、次回診察時に処方を検討してもらいやすくなります。

2024年度改定でも「単に確認された残薬の状況を記載するだけではなく、その後の残薬が生じないために必要な内容を併せて記載すべき」という文言が追加され、医師は単なる状況報告ではなく、状況を踏まえた提案を求めているという調査も示されています。
※引用元:2023年7月26日の中医協総会資料「調剤について(その1)」p88「医療機関における薬局から提供された服薬情報等の利活用」

③ 医師への指示ではなく提案
「〜すべき」といった医師への指示だと受け取られるような記載は避け、薬剤師としての意見、根拠を添えて、次回の処方設計に役立ててもらうように記載しましょう。

④ 簡潔にまとめる
簡単に要点を理解できる形式にすることが重要です。「目的」「客観的事実・患者様の主張」「薬剤師としての提案」の構成で記載すると、明確で伝わりやすいトレーシングレポートを作成することができます。

関連記事:トレーシングレポートの記入例〜医師に聞いた、期待する内容とは?〜

4.まとめ

服薬情報等提供料の目的にもあるように、保険薬局において調剤後も患者の状況を把握し情報を提供することは、医薬品の適正使用を推進することにつながります。
その情報を提供するための重要な手段であるトレーシングレポートは、様々な加算の算定要件にもなっています。
患者からの同意取得やトレーシングレポート作成のポイントを押さえ、適切な情報提供を実施していきましょう。

また、情報提供をするにあたり、調剤後の患者の状況を把握し、問題があった際に検知できるようにするために、服薬フォローアップの実施はとても重要です。
今回の改定における議論でも、服薬フォローアップでの薬剤師の介入効果が認められたり、医療機関へのフィードバックにつながることが期待されています。

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▶︎活用事例「服薬フォローアップ実施月に数件→月105件、トレーシングレポート17件につながる」を見る

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本記事の執筆者

株式会社メドレー Pharms事務局
調剤薬局の皆さまに向けて、法制度やトレンド情報の解説などのお役立ち情報を、薬局様からのリアルなお声も基にし発信しております。
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