オンライン服薬指導の要件や点数と必要な準備を解説
2024年11月27日
こんにちは、Pharms事務局です。
本記事では、オンライン服薬指導(情報通信機器を用いた服薬指導)の実施において、要件や点数の整理および薬局で準備すべきことをご紹介します。
オンライン服薬指導の要件については以下資料にもまとめております。
1.オンライン服薬指導の要件と点数
2020年4月に新型コロナウイルス感染拡大によって前倒しで解禁された「0410対応(0410通知)」ですが、2023年7月31日で終了しました。2023年8月以降は、0410対応と並存していた「改正薬機法」に沿った実施を行う必要があります。
改正薬機法は2022年4月に「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律施行規則の一部を改正する省令」(以下「22年4月改正省令」という。)の施行により、0410対応からほぼスライドする形で多くの規制が緩和されました。
0410対応と異なる部分は、映像及び音声による対応が必須となった点です。
▶︎関連記事:オンライン服薬指導の要件を「0410対応」と「2022年改正薬機法」の違いを踏まえ解説
その上でオンライン服薬指導の実施要件や調剤報酬上の点数について、重要な点に絞って整理していきます。
①実施要件
- 薬剤師の判断:オンライン服薬指導の実施に際して、薬剤師の判断と責任に基づき行うこと。また、服薬指導が初めての患者や処方内容に変更のあった患者に対しては、服薬状況等を把握した上で実施すること
- 患者に対し明らかにする事項:薬剤師の判断でオンライン服薬指導から対面に切り替える場合があることや、情報漏えい等に関する責任の所在が明確にされていること(薬局ホームページに表示する等で良い)
②オンライン服薬指導を実施する際の留意事項
- 必要に応じて薬剤情報提供書などを用いて服薬指導を実施すること
- 対面と同様に薬剤の使用方法の説明や服用期間中の状況把握、医師へのフィードバックを行うこと
③オンライン服薬指導に関するその他留意事項
- オンライン服薬指導の体制:かかりつけ薬剤師・薬局に行われることが望ましい
- セキュリティ:情報セキュリティおよびプライバシー保護等の観点から必要な通信環境を確保すること
- 薬剤の交付:品質を確保した状態で速やかに患者に届け、受領確認を行うこと
- オンライン服薬指導を行う場所:患者の同意の上、薬局以外の場所でも可能。その際は調剤を行う薬剤師と連絡が取れる状態にするかつ薬局内と同程度にプライバシー配慮がされていること
- 処方箋:
- 紙処方箋の場合:患者からの要望があれば医療機関は処方箋を直接薬局に送付できる。薬局は処方箋原本を入手するまで、FAXやメールなどで入手した処方箋をもとに調剤を行い、原本は保管すること。
- 電子処方箋の場合:患者から電子処方箋の引換番号および被保険者記号・番号等をアプリや電話などで入手し、電子処方箋管理サービスから電子処方箋を取得する
④麻薬や向精神薬はオンライン初診での処方が不可
- オンライン初診での処方不可対象:麻薬および向精神薬、基礎疾患等の把握ができていない患者に対する特に安全管理が必要な薬品および8日分以上の処方
⑤オンライン服薬指導の調剤報酬上の点数
- 外来患者向け:服薬管理指導料
- 原則3月以内に再度処方箋を提出した患者に対して行った場合:45点
- それ以外の患者の場合:59点
- 在宅患者向け:在宅患者訪問薬剤管理指導料
- 在宅患者オンライン薬剤管理指導料:59点
詳細は以下公式資料をご確認ください。
※引用:厚生労働省 令和4年9月30日「オンライン服薬指導の実施要項」、「令和4年度調剤報酬改定の概要(調剤)」
2.薬局でのオンライン服薬指導に関する準備事項
ここでは1.で整理した要件をもとに、準備すべきことを4点に絞ってご紹介します。
①情報セキュリティをクリアするオンライン服薬指導システムの導入
オンライン服薬指導を実施する際は、厚生労働省「オンライン服薬指導の実施要領について」に基づき、3省2ガイドラインの情報セキュリティをクリアする必要があり、オンライン服薬指導専用システムを導入することが望ましいとされています。
②オペレーションの整備
オンライン服薬指導を新たに始める際、薬局内の業務オペレーションを新たに構築し、現場に落とし込むことが必要です。
また、22年9月改正省令により、薬局以外の場所でも以下条件でオンライン服薬指導を実施することができることとなりました。
薬局外での対応も行う場合、以下条件も加味したオペレーション構築が必要となります。
<条件>
1. 患者の求めがある場合又は患者の異議がないこと
2. 調剤を行う薬剤師と連絡を取ることが可能であること
3. 対面による服薬指導実施と同程度のプライバシーの配慮がなされていること
4. オンライン→対面への切り替えが必要な場合、自身もしくは他の薬剤師により
対面での服薬指導の実施が可能であること
5. セキュリティ対策が実施されていること(第三者が容易に立ち入ることができない。
該当情報の全部または一部が第三者認知されない措置が講じられている)
6. 服薬指導を実施する薬剤師は調剤が行われる薬局に所属し労務を提供していること
7. 対象患者の調剤録の内容の共有を可能とする措置がとられていること
※参考:オンライン服薬指導の実施要項に係るQ&Aについて
③薬剤師の知識向上、研修
「薬局開設者は、オンライン服薬指導を実施する薬剤師に対し、オンライン服薬指導に特有の知識等を習得させるための研修材料等を充実させること」とされています。
日本薬剤師会のwebサイトにオンライン服薬指導に関する研修スライドが公開されています。
④患者への周知
患者に対して、以下2点を開示する必要があります。開示方法は、薬局のホームページ等での記載も可能とされています。
- (ア)オンライン服薬指導を行うことの可否についての判断の基礎となる事項
- 薬剤師がオンライン服薬指導を行わないと判断した場合に、オンライン服薬指導を中止した上で、対面による服薬指導を促す旨および判断の例 (服用にあたり手技が必要な薬剤の初回処方時等)
- (イ)オンライン服薬指導に係る情報の漏えい等の危険に関する事項
- オンライン服薬指導時の情報の漏洩等に関する責任の所在
また、以下4点についても、上記と同様に薬局内の掲示やホームページへの掲載などであらかじめ患者などに周知する必要があります。
- ア オンライン服薬指導の時間に関する事項(予約制等)
- イ オンライン服薬指導の方法(使用可能なソフトウェア、アプリケーション 等)
- ウ 薬剤の配送方法
- エ 費用の支払方法(代金引換サービス、クレジットカード決済等)
3.オンライン服薬指導の流れ
①患者様は対面またはオンラインで医療機関を受診する。
②患者様がオンライン服薬指導を希望した場合、医療機関はオンライン服薬指導を受ける予定の薬局へ処方箋をFAXまたはメール等で送付する。その際、処方箋には対面診療の場合「オンライン対応」、オンライン診療の場合「情報通信」および「オンライン対応」と記載する。
▼オンライン服薬指導時の処方箋の取り扱い(処方箋への記載事項)について
※厚労省事務連絡「「オンライン服薬指導における処方箋の取扱いについて」の改定について」を参考にメドレーが作成
③患者様はオンライン服薬指導の予約を行い、ビデオ通話でのオンライン服薬指導を受ける
④決済を済ませ、直接または郵送にて薬を受け取る
⑤医療機関は処方箋原本を薬局へ送付し、薬局は受領した処方箋原本を保管する
4.まとめ
オンライン服薬指導の実施において、要件や点数の整理や薬局で準備すべきことをご紹介しました。
弊社Pharmsは、全国14,000店舗以上の薬局に導入いただいており、オンライン服薬指導シェアNo.1のサービスです。
システムの選び方やオンライン服薬指導の体制構築にあたっての重要なポイントを、オンライン相談会でご案内しております。
これからシステム導入をご検討される薬局様は、ぜひお気軽にご相談ください。
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本記事の執筆者
株式会社メドレー Pharms事務局
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