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電子処方箋のこれまでと現状、今後の動向を解説

2021年01月13日

電子処方箋のこれまでと現状、今後の動向を解説画像
-目次-
1. 電子処方箋とは
2. 電子処方箋のメリット
3. これまでの検討経緯
3-1. 2016年に策定された「電子処方箋の運用ガイドライン」とは
3-2. 2019年に実施された「電子処方箋の本格運用に向けた実証事業一式」とは
3-3. 2020年に策定された「電子処方箋の運用ガイドライン 第2版」とは
4. 電子処方箋の今後の動向

1. 電子処方箋とは

電子処方箋とは、これまで紙で運用されていた処方箋を電子的に管理する仕組みを指します。様々な導入のメリットがある一方で普及が進んでいないため、厚生労働省が、2020年にガイドラインを改訂、2022年度の本格運用を発表するなど、電子処方箋は国をあげて推進されています。今回は、その特性や検討経緯を解説していきます。

2. 電子処方箋のメリット

電子処方箋は医療機関や薬局、さらに患者や家族にとってメリットがあります。以下に、厚生労働省の「電子処方箋の運用ガイドライン 第2版」に記載されているメリットをご紹介します。

医療機関・薬局における主なメリット

・医療機関からの電子的な処方情報をもとに、薬局で疑義照会や後発医薬品への変更などを含む調剤業務が行われ、その結果を医療機関に戻し、次の処方情報の作成の参考にするという情報の有効利用が可能となる。
・医療機関、薬局間での情報の共有・共用化が進むことで、医薬品の相互作用やアレルギー情報の管理に資することが可能となり、国民の医薬品使用の安全性の確保など公衆衛生の向上にも資する
・医療機関では、紙の処方せんの印刷に要するコストが削減される。紙の処方せんの偽造や再利用を防止できる。

患者や家族における主なメリット

遠隔診療の際、処方せんの原本を電子的に受け取ることが可能となる。 
・薬局が患者に調剤した情報を電子的に提供し、患者自らが実際に調剤された情報を電子的に保存・蓄積し、服薬情報の履歴を管理できる。
・患者等が自ら保存・蓄積した調剤の情報を、他の医療機関等に自らの意思で提示することが、紙媒体よりも容易になる。生活習慣病など比較的長期にわたって治療が必要な疾病では、生活環境の変化などにより医療機関や薬局を変更した場合でも、診療の継続性の確保が容易になる。


▼参考資料
厚生労働省(2019)「電子処方箋の運用ガイドライン 第2版」

3. これまでの検討経緯

電子処方箋の実現に向けた検討は以前から厚生労働省で行われていましたが、2016年に初めてガイドラインが策定されました。2019年の実証事業を経て、2020年にガイドラインは第2版へと改定されています。本章ではこれまでの検討経緯を記述していきます。

3-1. 2016年に策定された「電子処方箋の運用ガイドライン」とは

このように多くのメリットがある電子処方箋を推進するために、厚生労働省は2016年にガイドラインを定めました(2018年に一部改正)。ガイドラインは、「電子処方せんに対応できない薬局でも患者が調剤を受けられる」という前提のもと、システム構造や、業務のフロー等の指針を示しています。しかし、このガイドラインの下では、電子処方箋の運用実績はなく、以下の理由から普及しなかったと考えられます。

「電子処方せん引換証」に基づく運用の煩雑さ

「電子処方せんに対応できない薬局」にも対応するため、電子処方箋引換証という紙媒体を運用する形になっていました。これにより、医療機関における業務を煩雑化させたり、患者の利便性を阻害し、普及が進まなかったと考えられています。


電子処方せん引換証


在宅医療やオンライン診療に限られた電子処方箋ニーズ

在宅医療やオンライン診療の際には、処方せんが郵送となるため、医療機関や患者からの電子処方箋に対する強いニーズが存在します。一方で、現行の対面での診療や服薬指導の運用においては、電子処方箋を用いる積極的理由はありません。このニーズの狭さが、普及を阻害したと考えられています。

電子処方箋のシステムにかかわる費用の発生

電子処方箋のシステムにかかる費用の程度が不明であることが医療機関・薬局ともに電子処方箋導入における懸念となり、普及が阻害されたと考えられています。

3-2. 2019年に実施された「電子処方箋の本格運用に向けた実証事業一式」とは

上記の課題解決に向け、2019年に、株式会社メドレー(弊社)が厚生労働省より受託し、実証事業で新たなフローを検討しました。電子処方箋を用いた運用は72回試行され、64回が調剤を完了することができました。なお、調剤が完了しなかった8回に関しては、システムのプロトタイプに処方変更の機能を搭載しなかったことが原因であり、本運用の際には問題が生じないと考えられます。実証事業で試用された業務フローの概要は以下になります。

「電子処方箋引換証」ではなく「アクセスコード」を利用する 

2016年のガイドラインにあった紙の「電子処方箋引換証」が運用の煩雑さを生んでいたため、患者に対してはQRコード形式のアクセスコードを交付しました。

医療機関・薬局における「アクセスコード」のデジタル処理

「アクセスコード」を患者に発行するだけでなく、医療機関、薬局にも処理するための仕組みを導入しました。医療機関においては、電子カルテから直接アクセスコードを発行し、印刷及び電子的な送付を可能としました。また、薬局においては、PCまたはタブレットのカメラによる容易なアクセスコードの読み取りを可能としました。

▼アクセスコードのサンプルと利用風景

Webベースのシステム利用

薬局が容易にシステムを導入できるよう、共有サーバへのアクセスが可能なWebベースのシステムを活用した設計(クラウドサービス)としました。

3-3. 2020年に策定された「電子処方箋の運用ガイドライン 第2版」とは

実証実験の結果を踏まえ、厚生労働省は2020年に「電子処方箋の運用ガイドライン 第2版」を策定しました。主たる変更点は、実証実験でも用いられた運用フローである、「電子処方箋引換証」の発行を不要とし「アクセスコード」を元にしたフローへと改定した点とクラウドサービスを前提とした点でした。
一方で、第2版の下でも電子処方箋が運用されているという話は聞かないところです。

▼参考資料
厚生労働省(2016)「電子処方せんの運用ガイドライン」
メドレー(2019)「電子処方箋の本格運用に向けた実証事業一式 【最終成果報告】」
厚生労働省(2020)「電子処方箋の運用ガイドライン 第2版」

4. 電子処方箋の今後の動向


厚生労働省は2020年7月に「新たな日常にも対応したデータヘルスの集中改革プランについて」を公表しました。そこでは2022年夏頃から電子処方箋を運用することとしており、これまで2023年度での実施としていた計画を1年前倒しするものになりました。2021年度は国が電子処方箋のシステム開発を実施することになっています。

電子処方箋のシステムは、現在厚生労働省が推進しているオンライン資格確認等システムを基盤として運用し、社会保険診療報酬支援基金及び国民健康保険中央会(以下、「支払基金等」)が運営主体となる方針です。また、重複投薬の回避がリアルタイムで可能となるような機能が検討されています。

一方で、支払基金等が電子処方箋に係るサービス提供を完結するのか、オンライン資格確認等システムを導入していない医療機関・薬局は利用できないのか、システムにかかる費用負担はどうなるのか、医師・薬剤師の電子署名(押印の代替)はどうなるか等々電子処方箋システムの全容についてはまだ見えてきていません。引き続き、今後の動向に注目していく必要があります。


▼参考資料
厚生労働省(2020)「新たな日常にも対応したデータヘルスの集中改革プランについて」
厚生労働省(2020) 第6回健康・医療・介護情報利活用検討会、第5回医療等情報利活用WG及び第3回健診等情報利活用WG 資料


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