地域支援体制加算とは?2024年度調剤報酬改定での算定要件の変更点を解説
2024年03月06日
1.地域支援体制加算とは
地域支援体制加算は、2018年度調剤報酬改定より新設されました。
その後2020年度改定では算定点数の引き上げ、2022年度改定では、薬局機能別に新たに4区分され区分ごとに実績要件が設定されるなど、改定の度に見直しがされております。
2024年度改定では、地域における医薬品等の供給拠点としての体制が整備されている薬局かどうかという観点で議論および見直しがされました。
地域支援体制加算を算定するには、全区分共通の体制要件と調剤基本料の区分ごとに決められている実績要件を満たす必要があります。
2024年度改定ではどちらも見直しが入っており、既にいずれかを算定している薬局全体に影響があると考えます。
2.2024年度調剤報酬改定における算定要件の変更
2-1.点数
地域支援体制加算1〜4全て、7点マイナスとなりました。
※但し、特別調剤基本料Aの場合は100分の10に相当する点数のみ算定、特別調剤基本料Bの場合は算定不可。
2-2.体制要件
全区分共通で、以下が追加されました。
・健康サポート薬局届出要件と同様な48薬効群のOTCの取り扱い
・緊急避妊薬の備蓄と体制整備
・タバコ販売禁止・薬局敷地内禁煙
・在宅薬剤管理の実績 年間24回以上
・集中率85%超の薬局は、後発品の調剤割合70%以上(従来は50%以上)
2-3.実績要件
全区分共通で、「小児特定加算」※が追加され、施設基準項目数は9項目から10項目に増えています。
※ 小児特定加算とは
⑨ 服薬管理指導料、かかりつけ薬剤師指導料、在宅患者訪問薬剤管理指導料、在宅患者緊急訪問薬剤管理指導料及び在宅患者緊急時等共同指導料の小児特定加算の算定回数の合計が1回以上であること。
また、区分は調剤基本料1を算定している薬局は地域支援体制加算1または2、調剤基本料1以外を算定している薬局は地域支援体制加算3または4と分かれており、2つに分けて変更点をご紹介します。
①地域支援体制加算1,2(調剤基本料1の薬局が対象)
※各項目の数値は処方箋受付回数1万回当たりの必要回数となります
※2024年2月14日中医協「別紙1-3調剤報酬点数表」をもとにメドレーにて作成
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<変更点>
地域支援体制加算1
・施設基準②④⑦必須+⑧or⑩を満たす→④必須+2項目を満たすに変更
※実績要件の必須要件から⑦単一建物診療患者の在宅が外れたが、体制要件に在宅薬剤管理の実績24回以上(年間)が追加されたため、在宅の実績は必要
・②④が「免許取得」や「届出実施」の体制を持つ→算定実績が必要に
・服薬情報等提供料が12回→30回に増加
地域支援体制加算2
・施設基準3/9項目を満たす→8/10項目を満たすに増加
・①②③⑤⑥⑧⑩が減少
・④が40回→20回に増加
・⑧が60回→30回に減少
・⑩が5回→1回に減少
②地域支援体制加算3,4(調剤基本料1以外の薬局が対象)
※各項目の数値は処方箋受付回数1万回当たりの必要回数となります
※2024年2月14日中医協「別紙1-3調剤報酬点数表」をもとにメドレーにて作成
<変更点>
・施設基準3/9項目を満たす→8/10項目を満たすに増加
・算定実績の件数に変更はなし
3.経過措置
改定により追加対応の必要が発生する要件には、基本的に2024年8月31日まで経過措置が適応されます。
届出時期は以下の通り、新規算定または区分変更を行う場合と、継続算定する場合とで異なります。
1:令和6年6月より、新たな施設基準に基づき新規算定または区分変更を行う場合
2023年5月~2024年4月末の実績をもって届出が必要です。
2:経過措置を利用し、2024年5月末時点で算定中の区分と同一の区分で継続算定する場合
経過措置終了後の2024年9月以降も、同一の区分の地域支援体制加算を継続算定するためには、2023年8月〜2024年7月末の実績をもって届出が必要です。
(例)2024年改定前は地域支援体制加算2を算定していたが、2023年8月〜2024年7月末の実績で要件がクリアできなかった場合、2024年9月以降、地域支援体制加算1に下がるか、1の要件すらクリアできなければ算定不可となる。
4.地域支援体制加算2の継続算定条件クリアの事例紹介とまとめ
本記事では、2024年度調剤報酬改定によって、地域支援体制加算の要件がどう変わるかを解説しました。
今回より追加となった実績要件「小児特定加算」が対象となる患者が限定的であることをはじめ、要件が達成できるかどうかが外部要因に依存してしまう項目もあると考えます。
そのような中で、「⑧服薬情報等提供料」は、義務化されている服薬フォローアップをより推進し、薬局起点で日頃からの取り組みを継続することで要件の達成に繋げることができると考えます。
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出典
- 厚生労働省:令和6年度診療報酬改定の概要【調剤】
本記事の執筆者
株式会社メドレー Pharms事務局
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